夏の虫にご用心 / 保子先生の皮膚科通信 2

夏は虫刺されが多い季節。皮膚症状は虫の種類によって様々ですので、それぞれの対処法をお伝えします。

皮膚症状は虫の種類によって様々ですが、夜も眠れない程の痒みや痛みを伴う事が有ります。
良く知られている虫は蚊、ノミ、ダニ、ナンキンムシ、ブユ、アブ等です。これらは人の血を吸う際に出す唾液の中の物質で痒みを引き起こすと言われています。
刺された部位を中心に赤味が斑状広がり、痒いだけではなく痛みや水ぶくれも出てきます。
1か所のみ刺されるよりも何カ所か同時に刺されることの方が多いです。
そのまま放置しても1週間程度で良くなることも有りますが、中心部が痒みの強いしこりとなり長い間残ってしまう事も有ります。
特に子どもは虫刺され箇所を掻いているうちに、ばい菌が傷に付着して広範囲な「とびひ」になる事も多いです。
予防としては野山で遊ぶ時は長そで長ズボン、足元は特にハイソックスを履くと良いでしょう。長靴等にすればベストです。虫よけスプレーを追加しても良いです。

虫に刺されてしまった時の対処法は?

それでも刺されてしまい症状が酷ければ、皮膚科に行き少し強めのステロイド外用薬を処方して貰いましよう。しこりが消失するまで長めに外用するのがポイントです。
「とびひ」にまでなってしまった場合は抗生剤と痒み止めの内服薬や抗生剤の外用薬が有効です。またばい菌の量を減らすために傷は清潔に洗い流すことも大切です。爪も短くしてくださいね。

夏に注意したい虫

―マダニ―

あまり知られていないですが、夏に比較的外来で見る症状にマダニによる虫さされがあります。
マダニは山林に生息しており、キャンプや山登りの際、衣服に付着します。マダニは小さいので刺される前まで気づきませんが、家に帰ってゴミやかさぶたかと思い取ろうとしたところ実は充分吸血して数倍に大きくなったマダニだったということがあります。強く振り払うとすると、刺しロだけ体内に残ってしまうことがあるので慌てず病院に来院しましよう。
マダニに刺されると全身性の感染症にかかる事もあるので適切なアドバイスを受けて下さいね。

―蜂―

都会でも蜂と遭遇することがあります。蜂は刺された瞬間痛みと腫れが出てきます。都会で蜂に刺され来院される患者さんは出会って刺されるというよりも、靴の中にたまたま入っていたり洗濯物に紛れていたりという偶然のケースが多いようです。

蜂に刺されてしまったら?

蜂に何度も刺されると気分不快や息苦しさを生じることがあります。蜂毒に対するアレルギー反応が酷くなるとアナフィラキシーというショック症状を起こすことがあるのです。ミツバチやあしながバチ、スズメバチはショック症状を生じる可能性がある蜂です。家に巣を作られてしまった場合はむやみに近付かず早めに対処しましよう。
刺された場合は局所的な症状だけなら冷やして病院でステロイドの外用薬を処方して貰いましょう。アナフィラキシーなど、重篤な症状の場合は迷わず救急車を呼びましょう。

―蛾の幼虫―

次に春夏に比較的よくみかけるようになるのが、蛾などの幼虫が持っている微小な毒針毛で刺されるケースです。症状が割と派手ですが、自身で原因が分かりにくいものになります。
蛾の幼虫は、公園の木下で遊んでいたり、木登りをしていて、知らずにその毒針毛が付着してしまうことがあります。外で洗濯物を干していても高い木が側にあると洗濯物に毒針毛が付着していることがあり、それを着用してしまうと次の日に皮膚に痛痒いプツプツした赤い皮疹がたくさん出てきてびっくりします。症状が強いので慌てますが、強めのステロイド外用すると改善してきます。

夏のお出かけは虫対策を!

夏は野外で活動する機会も多く、虫との接触機会も増えます。先ずは外出先ではどのような虫がいるか想像することが大切です。訪れる場所にあった服装を心がけましよう。また刺されてしまった場合は早めに病院に行くと症状を長引かせないで済むメリットが有ります。
快適な夏を過ごすためには虫対策をお忘れなく!

<監修>
外苑前いちょう並木クリニック 院長 松岡 保子

・略歴
都立西高等学校卒 / 北里大学医学部卒
・資格
皮膚科専門医 / 形成外科専門医

大学を卒業後、皮膚や外表器官の専門家を目指し、日本医科大学で皮膚科の専門医を取得し、東京医科大学で形成外科の専門医を取得。皮膚科の内科的診断力と形成外科の外科的技術力を生かしながら総合的なアプローチを行う。
赤ちゃんからシニアの方々まで、身近な患者さんの悩みに応え健康で幸せな暮らしが出来るようにサポートする。